スケジュールとスコープはトレードオフだが、ではユーザーストーリーは?

よく、プロジェクトマネジメントにおいて、「品質、コスト、スケジュール、スコープ」はそれぞれトレードオフにあり、すべてを固定することはできないと言われる。ここにt_wadaさんの「質とスピード」の話を合流させると、品質はスケジュールとトレードオフではなくてむしろスケジュールに対する説明変数である、と見ることができる。結果、これは「コスト、スケジュール、スコープ」のトリレンマと理解することができるし、アジャイルな開発においては「スコープを調整していく」ということがよく行われる。

ここでいう「スコープ調整」については以前書いた。

アジャイルなプロジェクトマネジメントにおける「スコープ調整」でやるべきこと、やるべきではないこと - 猫型の蓄音機は 1 分間に 45 回にゃあと鳴く

それに対して以下のようなレスポンンスをいただいた。

いろいろなスコープ調整 - 半空洞男女関係

上記の「スコープとスケジュールはトレードオフ」という話とこれらの話をつなげて考えてみたい。

すると、スコープとスケジュールはトレードオフなのだが、ユーザーストーリーとスケジュールは実はトレードオフではない、と言えるかもしれない。スケジュールを固定したらスコープを動かさなければならない、あるいはその逆も真だが、ユーザーストーリーとスケジュールは両方固定できる。そういう考え方ができそうだ。「機能」は「できた」「できなかった」の二値なのだけれど、ユーザーストーリーは「めちゃめちゃ実現できた」「おおよそ実現できた」「少し実現できた」などのグラデーションがある、という見方はどうだろうか。このような見方をすると、スコープ調整は「当初狙った通りのユーザーストーリー達成の水準は狙えないので、水準は落とさざるを得ないが、どのようにしてなるべく水準を落とさずにリリースを迎えるか、そのためにどうタスクや機能を組み替えるか」を考えることだ、という発想に至れそうな気がする。

どうでしょうね?