2025-01-01から1年間の記事一覧

絶対音感を説明する表現に対する提案

「絶対音感を持っているひとには、すべての音が音名で聞こえる」という表現がよくなされるが、これはかなり誤解をうむ表現だと思う。 たとえばホワイトノイズはその定義上音高を持たない(基音を持つのであればそれはホワイトノイズではない)。これ極端な例…

コード1行あたりの収支を意識する

ソフトウェアサービスというのは、リリースした瞬間から、もっと言えば書いてリポジトリにコミットした瞬間から「コスト」を産み始める。 新しい機能を作りたいとき、われわれは既存の機能、既存のコードとの整合性をとる必要がある。そのため、「既存のコー…

「ソフトウェア開発運用に関するコストパフォーマンス」に関するメモ

コストなんかかからなければかからないほうが良い。一方で、なにかをするためには資本(金、時間、労力)を投下しなければならない。そんなわけで、どこもぶち当たる課題「コストをなるべくかけず高い成果をあげたい」という話が生まれる。 しかし、これだけ…

ソフトウェアエンジニアがプロダクトにオーナーシップを持てないアンチパターン、構造

世間ではよく、「プロダクトにオーナーシップを持て」というようなことを言われる。かんたんにいうと「このプロダクトは自分のものだ」と思って仕事しろ、という話だ。よく言われるということは、逆にいうと「そうなっていないことが多い」ということだとも…

Lambda Functionsを ALB のターゲットとして使用する場合、複数値ヘッダーの有効化をしないとクエリストリングなどの値が捨てられる場合がある

さいきんは便利な社会になっており、Lambda FunctionsをALBの後ろに直接配置して、HTTPリクエストをシュッとLambdaで受けるなんてことができます。 さて、話が変わって、いわゆるREST APIでは、参照系の操作をGETで行い、パラメータはクエリストリングで渡す…

コーディングエージェントは新しい「コンパイラ」となるのか? わからん

コーディングエージェントは新しいコンパイラのようなもので、自然言語で仕様を記述したものが新しい「ソースコード」となる、という言説があるけど、ぼくはいまのところそうは思わない。なぜなら、コンパイラの動作は決定的である一方、LLMによる処理は非決…

Claude Codeと一週間過ごして見えてきたこと

ブログなので雑にバラバラと書く 手がとにかく早い まあ機械なのでそれはそう 意味のあるフィードバックをClaude Code自身が得られるような工夫が必要 「生成」AIなので生成することは向いているけど、チェックすることには向いていない。あたりまえだけどテ…

process-bookを令和最新版に更新した

昔書いて結構ご好評を得た「process-book」なんだけど、サンプルコードが古かったりbuild環境が古かったりしたので、令和最新版にリバイスした。 https://github.com/Shinpeim/process-book リバイスした内容としては…… docker containerでの実行環境を同梱…

マルクスとLLM

TL;DR: マルクスは、生産手段(工場とかね)が資本家に独占され、労働者は生産手段を持たないため労働力を生活のためのもろもろに変換するしかないという状況を問題視した ソフトウェアエンジニアをはじめ、いわゆる「知識労働者」は、生産手段がその頭の中…

Vibe Codingで、自分が使いたいコード譜管理アプリケーションを作った

Claude Code、触った人がみんな「これは体験が違い過ぎる」と言っているので、さすがに触ってみるか〜、と思い、週末一本勝負で自分の使いたいコード譜管理アプリケーションを作った。 作ったものの紹介 ここで触ることができる。 Nekogata Score Manager 作…

生成AIを利用した、父と息子のメールのやりとり

導入; 筆者は父からよくメールを受け取っている、その内容は様々で、わたしからみたら「うーん、どうかな」と思うことが書かれていたり、「へえ、おもしろいね」と思うようなことが書かれていたりするが、要は、用件ではなく、ちいさいエッセイのようなもの…

「文化的雪かき」2025

村上春樹の作品『ダンス・ダンス・ダンス』には、「文化的雪かき」という表現が登場する。 彼女から月面の絵はがきが届いた一週間後に、僕は仕事で函館に行くことになった。例によってあまり魅力的とは言いがたい仕事だったが、僕は仕事のよりごのみが出来る…