年の瀬なので、毎年恒例の音楽活動まとめをしようと思う。
例年はその年に作ったり関わったりした音源をバーっと紹介していたんだけど、今年は数が多すぎるので印象に残っているものやことをまとめていきたいと思う。
ひとさまの楽曲の編曲、レコーディング、ミックスをやりはじめた
去年もちょいちょいやってたんだけど、今年は本格的にやりはじめた。きっかけは去年の夏にやったバンドのレコーディングで、そのときに
- 自分のミックスのやり方は大きく間違えているというわけではない
- 一方でプロの技術とは練度が違いすぎる
というふたつのことがわかった。これがきっかけで「もっと音源制作(楽曲制作ではなく、「音源」の制作)のレベルを上げたい」という気持ちに火がついた。
練度を上がるためにはとにかく試行回数を増やす必要があるが、自分の作った楽曲だけミックスしているだけでは、スループットが「自分で作れる楽曲の数」に律速されることになり、試行回数を稼げない。とくに自分は作詞が苦手なので、そこが一番のボトルネックになっていた。そのため、今年は以下のふたつを新しい活動として始めた。
- 自分がいろんなひとに曲を書いて、詞はひとにまかせちゃう。それをレコーディング、編曲、ミックスする。
- この活動はtmrr recordsという音楽レーベルとして結実していて、配信ディストリビューターの公式プレイリストの常連入りを果たすことができた。ちょうど先日もtmrr recordsの「閑古鳥ガールズ」が公式メディアにも取り上げられたりと、一定のクオリティを内輪と違うところに認めてもらえているのはうれしい
- 弾き語りミュージシャンを主な対象に、編曲、レコーディング、ミックスを低価格で請ける
- ありがたいことにリピーターも少しずつ増えている。価格に対して満足してもらえる程度の出来であるということだろう。嬉しい。なお購入した機材やプラギンなどのことを考えると、この活動は赤字です(が、足しになっているので実質勝利である)
バンド活動が充実
メインでやってる「TRIO the CMYK」というバンド(名前が覚えにくいしググラビリティが低い)で、1枚のEPと1枚のシングルをSpotifyなどで配信した。そのうちシングルの方はセルフレコーディングに挑戦したし、EPのほうはSpotifyの公式プレイリストに選出された。
セルフレコーディング
「2DK」という作品をセルフレコーディングした。
自分がベーシックトラックをDAWで作って、鍵盤とギターは各自宅録したファイルを送付してもらい、ドラムは最後にスタジオで生録。ミックス、マスタリングも自分が行った。これはめちゃめちゃ勉強になった。
- ドラムの録音はスタジオ依存がすごいので、ちゃんとそういうスタジオでやらないとミックス時に死ぬ
- とくに部屋鳴りはどんだけマイキング工夫したところでスタジオの部屋鳴りがやばければどうしようもない
- 一方でそういうやべえ録音状態を外科手術でなんとかするテクも覚えられたのでこれはこれでよかった
- 次回セルフレコーディングするならドラムはちゃんと録れる環境を用意することにした。
- ボーカルに関しても音の入り口がまじで重要。録れ音がカサカサしてたらもうそっから先はディジタルではどうしようもない。これはアナログ機材にこだわる必要がある部分だと思った。
- 一方ギター、鍵盤、ベースに関してはDAW上の処理でも結構なところまで詰められる。80点までは行けそう。90点目指すならここもアナログ機材にこだわる必要はありそう。
- ドラムを最後に録ったのはスケジュールの都合だけど、ドラムは全ての要なのでやっぱり最初に録るべきだな〜〜〜〜〜と当たり前のことに気づいた
セルフレコーディングにもかかわらず、この作品もディストリビューターの公式プレイリストに載ったので、セルフレコーディングでも一定のクオリティは満たせている(出してもディストリビューター公式プレイリストに乗らないのもけっこうあるからね)というのは自信に繋がった。
EPのリリース
「太陽と暮らすシトラス」というEPを作った。
これはバンドにとって2枚目のスタジオ作EPとなる。前作での反省を活かして
- リハスタで練習しているときから、実際のレコーディングとおなじクリック(16分音符で「ココカコ」など)を鳴らして練習する
- アンプじゃなくてラインでしっかり音を作っておく
あたりに注力して準備をしていったおかげで、かなりスムーズにレコーディングも進めることができたし、実際に前作に比べてかなり意図通りの良い作品になったと思っている。その結果として表題曲の「太陽と暮らすシトラス」がSpotify公式プレイリストに選出され、5,000人以上、10,000回以上の再生、原宿の商業施設でBGMとして流れるなどのいい思いをさせてもらえた。今年一番のいい思い出である。
味をしめて、それ以降配信に出すものはバンドのものに限らず必ずSpotifyの公式プレイリスト入りを狙ったリリースをしているのだけれど、まあとにかく全然入らないですね。Spotify公式プレイリスト入りの壁は厚い。曲の問題もあるとは思うんだけど、やっぱりミックスとマスタリングに関して、自分でもわかるくらいに専業プロの仕事と自分の仕事に差があることもたしかなので、ここを埋めるべく努力したい。
なお、Spotify公式プレイリストに入ってたくさん再生していただけたところで売り上げはリハスタ代2回ぶん程度のものであった。Spotify上での再生数は公開されているので、専業プロの作品を見ては「この作品、Spotifyでの売り上げはn円くらいか……」ということを考えるようになってしまった。われわれTRIO the CMYKは全員、音楽以外の本業の仕事を持っているバンドなので、趣味としてやっていくぶんには十分にありがたい話というか、聴いていただけるというだけでうれしいだけど、専業プロはほんとうに大変だと思う。みんな、応援しているミュージシャンにはじゃぶじゃぶ金を落として、ミュージシャンがビジネスじゃなくて音楽に集中できる環境を守っていこうな。
ユニット活動も充実
音楽仲間のつるえさんといっしょにやっている「錦玉もなか」の活動も、結構充実していたと思う。tmrr recordsから、Spotifyなどに3枚のシングルを配信した。
「雨にブランケット」という楽曲は自分としてはかなり気に入っているのだけれど、このリリースをしたときにはまだまだミックスのレベルが低くて、「今だったらもっと」という気持ちになる。けどつるえさんの歌が本当に素晴らしくて、自分のやりたい音楽をこうやって一緒に、しかも自分にできないこと(歌のことです)をやってくれるひとがいるというのは本当にありがたいことだなあと思う。
来年の展望
来年は自分の編曲・ミックス・マスタリングでSpotify公式プレイリスト入りを目標としたい。あとは感染症の様子次第だけど、やっぱりバンドでライブがやりたいな。まあこれは人事を尽くして天命を待つしかない類の話なので言っても詮ないことではあるのですが。来年も音楽を楽しむ人生を続けたいと思う。