じぶんのベースの演奏を各AIくんに分析させたところ、Claudeが一番定量的な評価をしてくれた。どうやら内部で信号分析のスクリプトを書いて実行していそうだった。これはおもしろいぞ、と思って、以下のプロンプトを入力してみた。
16分音符を基準として、ベースの発音が、ジャストに対してどのくらいズレているのかを分析してみてほしい。「ズレは平均どのくらい(ms、何分音符ズレているか)か」「ツッコミ気味なのか、レイドバック気味なのか」などが可視化されるといいな
結果、かなり詳細に分析してくれて、このタスクにおいては他のAI君たちとClaudeくんは格がちがった。他のAIくんたちはおべっか使うばっかりで役に立たなかったが、Claudeくんはかなり練習や分析の役に立つ。
AIくんによる総評とわたしの感想
分析結果は以下のようになっていた。
完成しました!16分音符グリッドを基準としたタイミング分析です。
主な発見
タイミングのズレ
- 平均ズレ: +7.1ms(16分音符の約0.093個分)
- 中央値: +9.9ms(16分音符の約0.129個分)
- 絶対値の平均: 15.8ms(16分音符の約0.21個分)
演奏スタイル
レイドバック(後ノリ)気味 の演奏です: - レイドバック: 68音符(61.3%)← 多数派 - ジャストタイム: 18音符(16.2%) - ツッコミ気味: 25音符(22.5%)
解釈
この演奏は意図的にビートの後ろで弾くスタイル。ジャズやファンク、R&Bでよく見られる「グルーヴ感」を生み出す手法です。約7msの遅れは、心地よいレイドバック感を作り出しており、機械的でない人間らしいグルーヴを生んでいます。
6つのグラフで: 1. タイミングのズレ(ミリ秒)の時系列 2. タイミングのズレ(16分音符単位)の時系列 3. ズレの分布ヒストグラム 4. タイミング特性の割合 5. 統計的サマリー(箱ひげ図) 6. タイミングの推移トレンド
特に右下のトレンドグラフを見ると、演奏全体を通じて一貫してレイドバック気味であることがわかります。これは非常に安定したグルーヴ感の証拠です!

これは「絶対値の平均」を出してきたのがかなりいい分析だと思っていて、「ジャストよりも前」と「ジャストより後」が打ち消し合ってずれの平均が低くなったところでそれは「ガタガタの演奏」であるわけだから、絶対値の平均を持ってくるのは気が利いている。
グラフを読み解くと、前後40msのブレに収まっていることがわかる。が、全体がレイドバック気味なときに前に40msというのはかなり「ツッコミすぎ」であり、このあたりは改善の余地がありそうだ。
ちょっとローデータに近すぎるなと思ったので、「解釈しやすい数字と解釈を入れてくれ」としたところ、面白い事実として
- ジャストからのタイミングのずれの標準偏差が: 17.44msであることが示された。
- この数値の解釈としては……
- 人間が音のズレを知覚できる限界約10〜20msちょうど境界ラインらしいのでまあ悪くないラインにいそうだ
- プロのセッション基準が<10msである、とClaudeくんは主張していて、なるほどまあ感覚的にわからんでもないラインだ。
- この数値の解釈としては……
- 平均と中央値の差: 2.75ms
- 意図的なレイドバック(+7.12ms)を一貫して維持
- 極端なズレ(>30ms): 13.5%
- セミプロレベル(5-15%)の範囲内
おべっかを使ってセミプロレベルと言ってくれているが、極端なズレ(>30ms)が13%以上あるのはいただけない。
わたしの解釈とネクストアクション
- リズムフィール、タイム感については全体的には一定安定してるといって良さそうだ。
- 問題は
極端なズレ(>30ms): 13.5%であろう。演奏の1割以上が、30ms以上ずれているということだ。60fpsで考えて2fというのはけっこう大きい数字だ。これはいただけない。これが改善すると、リズムのずれの標準偏差も小さくなるはずであり、より「安定してレイドバックした演奏」を見につけることができそうだ。
では、どうしたら「極端なずれ」を減らすことができるのか。これはもう単純にフィジカルだと思う。早いパッセージで転ぶ、とかそういう「頭でなってるリズムに体が追いついていない」ということが起こっているのは、フィジカルがついていっていない部分だ。フィジカル練……嫌いなんだけど……これをやらないと一歩上にいけないということを定量的に見せつけられていて、たいへん優秀なコーチであると感じる。あしたから毎日30分基礎練します……。
ところで、これはけっこうすごいのではないか?
よく「〇〇のリズムは魔法で」とか「バックビートに重心が〜」とか言ってるけど、定量的な話はなにもしないオカルトリズムパーソンがインターネットに湧いて出てきては初心者にハラスメントをやっていくが、オカルトリズムパーソンが言っているようなことを、この手法で定量的に研究することが簡単に可能になるのではないか? 今回はスクリプトをClaudeが作ってClaudeが実行したので再現性にやや難があるが、スクリプトを提示させれば再現性も確保できよう。リズムのオカルトをAIが解き明かして、その原理を学習したAIが生成する音楽がよりファンキーで踊れる人間的な演奏のニュアンスを獲得していく、これはけっこう面白い未来だと思う。芸大生あたりが研究しないかな。わたしは音源が1000億再生されて億万長者になったら研究します。