チームでのファシリテーションで心掛けてること

最近現場に入っていって改善おじさんをやっているのだけれど、その中で「しんぺいさんのファシリだと納得感もってなおかつ物事が決まっていく」と言ってもらえて、これがとても嬉しかった。納得感とものごとが決まること両方が必要な場合に、自分がファシリテーションするときに意識していることを軽くまとめてみる。大きく言うとふたつしかなくて

  • 話は基本的に無限に逸れていくものなので、常に時間を意識して「この会議で決めないといけないこと」に関連するメインストリームに話を戻すことを気をつける
  • メインストリームに話を戻しつつ、全員の意見をきいてなるべく全会一致を目指す

だけ。念の為再度書いておくと、「納得感とものごとが決まること両方が必要な場合」の話で、独断で決断したほうがよいものなど、それよりも優先されるべき事柄がある場合はこの限りではない。

ものごとが決まらない会議というのはだいたい無限に話が逸れていったり詳細に入り込んでしまっていることが多い。なので、ちゃんと決めたいときは、必ず時間を意識して、時間内にゴールに辿り着けなさそうなときは「ちょっとこのままだと時間内に決まらないから話を戻したいんだけど」と話をメインストリームに戻すことを意識している。これをやるだけで「決まらない」ということはだいぶなくなると思う。

一方、「メインストリームに話を戻すぞ〜」と意識することと「俺の思う結論にみんなを誘導するぞ〜」というのは話が別で、ここで「話を戻したいんだけど、これが結論だよね」としてしまうと、ものごとは決まるんだけどメンバーにとっては納得感のない結論になってしまう。ここで二点目の「全員の意見をきいてなるべく全会一致を目指す」がポイントになると思っている。

全員の意見を聞くときにぼくが意識しているのは、必ず「それってこういう意味?」と自分の言葉で繰り返してみることだ。自分の言葉で繰り返すと、相手の言っていることを自分が都合よく解釈していた場合「そうじゃない」とフィードバックが返ってくる。これ一発で「その通り」ってなることは稀で、何度も「そうじゃなくて」をくり返す中で、わたし自身も、そのやりとりを聴いている周りのメンバーも、「意見があるひと」の意見を解像度高く理解できるようになってくる。こういうことを繰り返していると、ふたついいことがおこる。

ひとつめのいいことは、自分が見えていなかったこととか知らなかった背景が相手からどんどん出てくるようになって、「俺が思う結論」よりももっと良い決定ができるようになることだ。対話によって「より良い結論」が出るのであればみんなハッピーなので、「俺が思う結論に誘導する」よりもずっとそのほうが良い。もうひとつのいいことは、そのやりとりを聞いていた他メンバーの発言が誘発されることだ。だれかの意見をぼんやり聞いていても、なかなかそれに対する意見は出てこない。だれかの意見を解像度高く理解すればするほど、芯食った質問がでるようになるし、それに誘発された自分の意見も出てくるものだ。

こうして相手の意見を自分の言葉で言い直すことを繰り返すことで、多様な意見が出てくるようになる。そうすると、どうしてもまた詳細に入り込みすぎちゃったりとか今回決めたいことからズレたところに議論がいっちゃうことが起こるんだけど、行きすぎたらメインストリームに戻しながらもこれを繰り返していると、だんだん「論点は出揃ったね」という雰囲気になってくる。し、だいたい論点が出揃った頃にはみんながなんとなく「これに決めちゃっていいんじゃないかな」と合意できるような状態が出来上がっていることが多い。そうなると納得感もった上でちゃんとものごとが決まっていく。

ただ、そうやって論点が出揃ったと思ったあとにもどうしても決まらないことって結構ある。そういうときって「これっていわゆる決めの問題だよね」という状態になっているか、「本当は論点が出揃ってない」かのいずれかである場合がほとんどだと思う。そういうときどうするか。ぼくは、自分が「決めの問題じゃん」と思っている場合は「これってさ〜決めの問題じゃない? 決めの問題だってことってみんな同意できる?」と聞くことが多い。ここでみんなが「そうだな、決めの問題だな」と思うなら、ぱっと決めちゃえばいいし、「決めの問題であるという合意」は得られているので、納得感も得られる。

一方、「いや、決めの問題ではない」という人がいる場合、「なぜ決めの問題ではないのか」を聞き出すようにしている。そうやって聞き出したものに対して「それってこういう意味?」と自分の言葉で言い直すことをやっていると、途中で相手が「あ〜、てことは決めの問題か」と気づくこともあるし、ぼくが「あ〜〜〜それは決めの問題にできないですね」と認識が揃うかになってくる(だいたい五分五分くらいでそうなるので、やっぱり対話が大事)。後者のパターンの場合はつまりそれまでの議論で出てこなかった論点がこの対話の中で出てきたことにより合意に近づき、どちらにせよめでたしめでたしという感じになる。

だいたいの場合、時間を意識しながらこれを繰り返すことで、時間内に全会一致にたどり着くことができると感じている。一方、問題のサイズがデカすぎたり根が深かった場合、時間内に全会一致に辿り着けない場合もある。そういうときっどうするか。ぼくは、ケツがシビアなものに関しては「ケツがシビアなので、情報は出揃ってないけど決断しないといけない。決断するのはコイツ」だけ決めてお開きにするし、ケツがシビアではない場合は「もっかい時間決めて集まろっか」で持ち越すことが多い。

なんか雑多な話になってしまったが、自分のファシリテーションはこういうスタイルなんすわ、というのを書けてよかった。ブログはまとまってなくても雑に書いていくべきって思ってたのに最近それができてなかったので、まとまってないけど雑に書いた!