プログラマとコミュニティ あるいは SD8月号に記事を書かせてもらいました

表題にあるとおり、Software Design8月号の特集記事を書かせていただきました。GitHub入門的な記事です。

今書店で売ってる号は7月号ですので、今売ってるやつには載ってません(でももちろん買ってくださってもいいんですよ?)。発売日は7/18ですので、その後書店で購入したり、Amazonなどでお求めください。

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今年に入ってから、web+DB Pressの91,92号、SD8月号と、技術評論社さんの雑誌に記事を書かせていただく機会を立て続けにいただけて、ほんとうにありがたい限りです。

ところで、web+DB vol. 91の記事はYAPC::Asiaでの発表がきっかけでチャンスをいただいたのでした。92はPerlコミュニティつながりで頂いたお話でした。今回の記事に関しては、「Gitをはじめからていねいに」というドキュメントをGitHub上で公開しているのを目にとめていただいてお声がけいただくという経緯でした。

立て続けにこういう機会をいただき、拙いながらもアウトプットを続けていると、目にとめてくださるひとたちはいるのだなぁ、続けるというのは大事だなあというのを実感しています。ありがたいことです。

さて、このあとは壮大な蛇足です。

アウトプットのモチベーションの話

ところで、話が急に変わるようですが、わたしは文学部出身プログラマです。学生時代にきちんとコンピュータサイエンスを学んだことはなく、プログラミングは独学でやってきている人間です(そのため、きちんとしたコンピュータサイエンスのバックグラウンドに支えられた「基礎体力」のある方々に対するコンプレックスが結構強くあるのですが、それはまた別の話なのでおいておきます)。

「独学で」と言いましたが、それは決して「独力で」学ぶことはできないものです。わたしが主戦場としているいわゆるweb系は特にそうだと思うのですが、インターネットには、プログラマコミュニティが書き残してくれた膨大な数の知見が積み重なっています。もちろん、書籍から学ぶことも多かったのですが、それと同じくらい、インターネット上にアーカイブされた素晴らしい情報たちに、わたしはプログラマとして育てられてきましたし、現在も育てられています。

中でも、勉強会のスライドや発表には質の高いものが多いと感じます。これは、プログラマコミュニティがオープンにしてきてくれた、プログラマコミュニティの財産だと感じています。この財産を分けてもらうことで、独力ではできない独学が可能になっているとわたしは強く感じています。

さらに、インターネット上の情報だけではなく、なまのコミュニケーションも、わたしをとても育ててくれています。特に、Hachioji.pmで出会った方々、Niigata.pmで出会った方々、NDSで出会った方々、@9mさんを通じて知り合った方々とは、心理的に近い位置で技術的な相談をしたりされたりする中で、互いに切磋琢磨することができていて、この関係もまたわたしをプログラマとして現在進行形で育て続けてくれています。(この前のヤパチーでもshiba_yuさんやninjinkunさんとコミュニケーションできたことは大きな喜びでした!)

実は、わたしが技術的なアウトプットするモチベーションは、わたしを育ててくれているそんなコミュニティに対する恩返しがしたい、という気持ちが支えています。まあ、とはいえぶっちゃけ、そんなきれいごとだけじゃなくて、承認欲求にドライブされてる部分もめちゃめちゃ多くあるんですけど。でも、それだけではやっぱりやっていけないんですよね。クソリプ的な反応に心折れるし。わたしは、「ほんとうに多くのものをコミュニティや友人たちから受け取っているわたしが、自分の力でできることってなんだろう」という気持ちがなければ継続したアウトプットはできません。

アウトプットをしてたらいいことがあった

で、そうやってアウトプットを続けていたら、いいことがたくさんわたしに降りかかりました。

会社を超えて、プログラマ仲間がたくさんできました。その仲間たちは力強くて、わたしの知らないことをたくさん知っていて、しかもわたしが相談すると惜しみなくその知恵を貸してくれます。

転職や就職ができました。「コネ」ってわけではないけれど、アウトプットをたくさんした結果、「このひとはこれこれこういうことが得意でこういうことはあんまり得意ではないんだな」というのを分かった上で声をかけてくれるので、お互いにミスマッチをあまり心配せずに転職活動や就職活動を行うことができ、これはかなりありがたいことです。

そして、最初の話にようやくつながるのですが、雑誌の記事を書かないか、とお声がけいただくことができました。以前このブログにも書いたことがありますが、昔の夢が思わぬところでかなったりもしました。ありがたい話です。

でも、こんなの全部副次的なものです(とはいえ実際、かなり大きなメリットも享受しているのは無視できない事実だけれど、まあ、気持ちの問題として)。わたしにとっていちばん大きな喜びは、コミュニティから得た財産を、新しいだれかに渡すチャンスをたくさん得られるようになったことです。わたしの大好きな小沢健二の楽曲のワンフレーズに「愛すべき生まれて育ってくサークル 君や僕を繋いでる緩やかな止まらない法則」というのがありますが、まさにその法則のほんの一部にでも自分がなれているという実感こそが、わたしがアウトプットを経て得られているいちばんの果実です。

もし燻ってるひとがいたら、ぜひ一歩を踏み出してみたらいいんじゃないかという話

ようやくこの文章の結論にたどり着きました。だから、もし今この文章を読んでくれてるあなたが、プログラミングが好きで、なおかつアウトプットすることに興味があったりコミュニティに興味があるんだけど、それでもなんか一歩が踏み出せない、なんて状態で悶々としてるなら(そうじゃないならごめんなさい)、心配せずにその一歩を踏み出してみたらいいと思います。

もちろん、わたしはかなり運と縁に恵まれた例であるということは否定できません。なので、生存バイアス的なあれがそれしてる部分もあると思います。でも、プログラミングしてたら、みんな多かれ少なかれコミュニティから何かをもらってるんじゃないでしょうか。だったら、コミュニティからなにかをもらい、自分も誰かになにかを与えるというサークルの中に、一歩踏み込んでみるのは、単なるメリット云々を超えた意味があるとわたしは思います。

ブログを書く、というのもひとつの方法ですが、勉強会に登壇して仲間を見つけるという、ちょっと勇気が必要だけど大きな一歩を、この文章を読んだだれかが踏み出してくれて、上述のようなサークルがまたひとつどこかで産まれて育っていくようなことがあったら、わたしはとても嬉しく思います。

なんか大した実績があるわけでもなければロックスターでもないのに偉そうな言い方になってしまったけれど、「そういうの興味ねーよ」とか「お前に言われるようなことじゃねーよ」ってなってたらごめんなさい。エモいおっさんの戯言だと思って聞きながしてブコメあたりにでも「黙ってコードを書けよハゲ」「で、誰?」とでも書き残して叱責しておくれ。